ブログ

BLOG

斎藤環著『社会的ひきこもり 終わらない思春期』を読む(第1回)

社会的ひきこもり斎藤環(たまき)先生は、いわゆる「ひきこもり」研究の第一人者です。全国で講演されていますのでご存じの方も多いかもしれません。

たくさんある著書の中でも、この本はいわば概論的なものですので、その概略から見てみましょう。

まずは「社会的ひきこもり」の定義から。

<二十代後半までに問題化し、六ヶ月以上、自宅にひきこもって社会参加をしない状態が持続しており、ほかの精神障がいがその第一の原因とは考えにくいもの>

<「社会的ひきこもり」は、心に原因があって起こる問題です。つまり脳そのものに実質的な原因のある障がいや精神病によるものとは区別して考える必要があります。>

<「不登校」を病気にたとえるなら風邪のようなものですが、これに対して「社会的ひきこもり」は肺炎や結核にたとえられるかもしれません。>

<事例の家族背景については、父親は大卒の会社員、とりわけ管理職が多く、母親も高卒かそれ以上で専業主婦というパターンが平均的で、多くは現代日本の中流以上の階層が占めています。>

<「ひきこもり」が、さまざまな意味でわが国のもっとも平均的な家庭にみられるという事実は、この問題が現代日本の社会病理と深い関わりを持つことの傍証でもあるでしょう。>

次回はどういうタイプの子が「ひきこもる」のか、その具体像に迫っていきます。