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RADWIMPS 野田洋次郎さんの言葉「#しんどい君へ」

映画「君の名は。」「天気の子」などの音楽を手掛けるRADWINPSのボーカル野田洋次郎さん。

19歳でデビューが決まり、そこからミュージシャンとして頂点を目指し駆け上がってきた彼らは、今や若者たちのカリスマ的存在であり、輝かしい成功を収めました。

しかし、野田さんのその成功までの道のりは決して順風満帆なものではなかったそうです。

小学校の頃をアメリカで過ごし、アメリカで3回、日本で1回転校を経験した野田さん。“アメリカ帰りのアイツ”とからかわれるようになり、唯一の気持ちの拠り所である家庭では、父親との関係がうまくいかず、その頃からずっと自分の居場所をずっと探していたといいます。

高校生になっても周りには馴染めず、不登校ぎみに。<ほとんどの人間が嫌いで、くだらなく見えていた>彼ですが、そんな時も音楽だけはやり続け、卒業後ついに夢を掴みました。

そんな野田洋次郎さんから居場所が見つからず悩んでいる若者へのメッセージをご紹介します。

若者たちの胸に響く音楽を発信し続けている野田さんのまっすぐな言葉。悩んでいる一人でも多くの若者に届きますように。

 

【逃げて、叫んで、泣いていい。「君」を守って】

死にたいと思っている君へ。

君の苦しみは僕にはわからない。君の苦しみは君のものだ。君の身体にまとわり続ける、その苦しみだ。

君を苦しめるその原因は、きっと君がどんな思いで日々を生きているか考えたこともない。君が苦しいことさえ知らないかもしれない。

起きて、ご飯を食べて、トイレに行って、家を出て、歩いて、帰って、お風呂に入って、眠るまでの間、ずっと鉛にように君にまとわり続けるその苦しさを想像したこともきっとない。

朝目覚めて、全部あの苦しさは夢だったんじゃないかと本気で願ったりする気持ちなんか想像もできないと思う。

君の苦しさを何ひとつ知らないのに、僕は言う。無責任かもしれないけど言う。

僕は君に生きていてほしい。君がおじいちゃんやおばあちゃんになるまで生きていてほしい。

こんなに優しくなくて、不平等で、残酷で、嘘つきばかりで、やってられない世界だけど、それでもやっぱり生きていてほしい。

こんな狂った世界なんだから、君が苦しかったり悲しかったり、違和感を覚えるほうが自然だ。逃げ出したくなるのが当たり前だ。

こんな狂った世界で当たり前の顔をして、疑問も持たずに生きられる奴らの方がよっぽどどうかしている。あいつらの方がよっぽどおかしい。

君がいなくなって、そんな奴らばっかりの世界になるのなんて、僕は嫌だ。

君を支配している悲しみ、苦しみ。それは一生は続かない。これだけは約束する。

今そいつらに覆われていて、何も変わることはないと思っているかもしれない現状は、実はそんなことはない。

「時間」を経ると、物事は変化する。新しい景色が見えてくる。新しい角度が見えてくる。「今」とは違う未来が来る。

その時まで待てるなら待ってほしい。全力で逃げてもいい、叫んでもいい、泣いてもいい。

君が操縦席に座る「君」という人を守ってあげてほしい。

(2019.8.29 読売新聞より)