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フリースクールや家庭学習 学校外でも義務教育と見なす

フリースクールや家庭での学習を、義務教育課程での学習として見なし、認めようとする法案が、7月中に提出される見通しだ。超党派のフリースクール等議員連盟と夜間中学等義務教育拡充議員連盟の両議連が、5月27日に総会を開き、概要が了承された。今国会での成立と、平成29年度の施行を目指す。この法案が可決されれば、義務教育の現場を学校に限った昭和16年の国民学校令以来の転換となる。

 学校を長期に欠席していても、現実には出席扱いにして卒業させる「形式卒業」があり、義務教育制度と実態がかけ離れているとの指摘がある。家庭学習やフリークールでの学習活動が義務教育課程での学びとして認められれば、小・中学生で12万人いるとされる不登校の子どもたちの学習の選択肢が広がる。

 そこで、自民党の河村建夫衆議院議員が顧問、同党の馳浩衆議院議員が座長を務める超党派両議連の立法チームは「義務教育の段階における普通教育の多様な機会の確保に関する法律案(仮称)」(略称「多様な教育機会確保法(仮称、案)」を「座長試案」とし、多様な教育の確保を理念に掲げた。

 仕組みとしては、本人・保護者が、既存の学校以外で学ぶことを決めた場合、フリースクールやNPO法人、学校などの助言を得て、「個別学習指導計画」を作成し、市町村教委に提出する。教委は教育支援委員会を設けて、計画の審査・認定をする。

 認定されると、計画に基づき、スクールソーシャルワーカーや市町村教委の支援委員が定期的に訪問し、学習に関するアドバイスをするなどの支援を行い、学習の質を保証する。計画通りに学習が修了すると、学校からの卒業証書に代わり、教委から修了認定証が与えられる。

 また国と自治体には、努力規定ではあるが、多様な学習機会を確保するよう希望した家庭に対して、財政上の支援をするよう盛り込んだ。

 このほか、学齢超過者の学習機会を確保するために、夜間中学に関する項目も設けた。

 今後は、立法チームが条文作成に当たり、議員立法として提出する見込み。
 立法チームの馳座長は「形式卒業生の実態もあり、不登校の子どもたちに適切な支援ができるよう、立法措置をする」と語った。

 教育再生実行会議の提言を受け、文科省でも有識者会議を立ち上げ、フリースクールへの公的支援の在り方や不登校対策について議論を進めている。

教育新聞2015年6月4日号より抜粋